大判例

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福岡高等裁判所 昭和58年(う)778号 判決

所論は,本件覚せい剤に対する被告人の所持を否定するのであるが,覚せい剤取締法14条の所持は,人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって,必ずしも覚せい剤を物理的に把握することは必要でなく,その存在を認識してこれを管理しうる状態にあるをもって足りると解すべきである。原判決挙示の証拠によると,被告人は覚せい剤を入手して一部を自ら使用しその余を他に密売しようともくろみ,山崎敏充がその所有する日本刀を他に売却し,その代金の1部として受け取る覚せい剤を,被告人所有の乗用自動車と交換によって取得しようとしていたものであり,自己が毎日使用していた六本松ビル601号室の被告人方において,右覚せい剤を手に取ったうえ,同席していた知人の指示でこれを炊き直す(加熱して覚せい剤を混り物から分離し精製する)ことになるや,被告人自ら鍋を取り出してその炊き直しの準備をし,同席の者らの手によって炊き直しが行われたが,手順がわるく約50グラムあった覚せい剤が約5グラムに減じたものであることが認められるので,被告人にその実力的支配関係のあることは明らかであり,原判決が右覚せい剤につき被告人の所持を肯認したのは正当である。

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